着床前診断・産み分けの費用や流れなどそれぞれの重要性や注意点を解説

その答えは、2015年以降産み分けのみを目的とした着床前診断が合法ではなくなったことにあるのではないでしょうか。

産み分けの規制内容

2024年現在、タイの法律は性別選択を禁止し、そのためのPGDは許可されていません。この規制は2015年にタイの厚生労働省と関連する医療機関により議決され、違反した場合には罰則が科される可能性があり、合法的に性別選択のみをするのは禁止状況にあります。

産み分けが合法だった時の状況

この法案が可決される2015年以前、タイではFISH法(蛍光 in situ ハイブリダイゼーション)で染色体23番目の性染色体だけを検査する方法(産み分けのみを目的とした検査)が盛んに行われてきました。FISH法は、特定の染色体のみを蛍光プローブを使用し、視覚的に染色体を確認する技術です。

FHSH法での産み分け方法とは

1)採卵後、3日目胚から細胞を取り出す
2)性染色体を検査し、その結果を基に5日目の胚盤胞(凍結させない新鮮胚)を移植する

⚪︎摂取した細胞は培養の必要がないため最短2日で迅速な結果を得られる
⚪︎PGDの料金も安く、新鮮胚移植のため渡航も1度で済む

上記理由から、産み分け目的のために需要が多いプログラムでした。

産み分けと着床前診断の関係性

PGD(着床前診断)

特定の染色体の異常を検出。主にFISH法(特定の染色体を標的とし蛍光プロープで視覚的に確認)全ての染色体を検査できず限界がある

PGS(着床前遺伝子スクリーニング)またはPGT-A

全ての染色体を検査(異数性を検出)。主に次世代シーケンシング(NGS)法で細胞を培養し増幅させ全染色体を対象に異数性を検出可能。高精度。

2015年以降、産み分けだけを目的とした着床前診断は禁止とされ、人々はもっと上の技術を要求するようになりました。

産み分けと着床前診断の重要性

タイで産み分けが合法であった2015年前に盛んに行われていたPGDでは、性染色体だけを検査(性別部位の染色体のみ)していたため本来の着床前診断の目的である全染色体が正常(健康)である受精卵だけを移植するという基本的なことができていなかったのです。

PGS(PGT-A)での産み分け方法とは

1)胚盤胞から細胞を数個取り出す(通常5〜10)
2)取り出した細胞はDNAを抽出し、次世代シーケンシング(NGS)を用いて全染色体の検査を行います。

なぜPGT-Aは2度の渡航が必要となるのか

NGSを行うためには十分な量のDNAが必要不可欠。5日目の胚盤胞から取り出した数個の細胞では困難なため、PCR技術でDNAを増幅する必要があり、このプロセスに時間がかかるため。また大量のデータ生成の解析に時間がかかるため。DNA増幅と大量のデータ解析は2週間程度かかり、胚は凍結保存し、結果を待つことになります。

着床前診断を受けるメリットとは

PGT-AをNGS技術で行うことには、多くのメリットがあります。タイの厚生労働省およびタイ産婦人科学会のガイドラインに基づいた情報を提供します。

⚪︎胚の全染色体を詳細(染色体数の異数性)や構造的な異常を高い精度で検出
⚪︎染色体異常のない健康な胚を選択し移植するため、妊娠成功率が向上
⚪︎染色体異常がある胚を事前に排除することで、流産のリスクを大幅に低減

着床前診断を受ける際の注意点

以前のように特定の染色体(性染色体のみ)を選んで産み分け目的のためだけにPGDを希望することはできません。着床前診断は必ずPGT-AでNGS技術を用いて行うこと。着床前診断と産み分けの関係は一心同体。染色体異常のない健康な赤ちゃんを望むことを大前提とする必要があり、またそれを望まない患者様は一人もいません。産み分けだけを目的とするPGDでの治療は病院側も弊社も受けることはできません。

着床前診断の流れ

着床前診断を予定している場合は必ず顕微授精にします。これは細胞取り出しの際に精子の付着を防ぎ、検査の整合性を高めるため。5日で胚盤胞のステージに到達した受精卵から、胚葉(将来胎盤になる部位)から5-10細胞を取り出します。取り出した細胞をPGT-A検査に送り、遺伝子解析により、染色体異常の有無を確認します。この際、胚盤胞から細胞を取り出す際の精度と経験が求められます。細胞の取り出しが失敗すると、胚が損傷するリスクがあります。PGT-Aの解析には高い精度が求められます

着床前診断の費用

着床前診断(PGT-A)の費用は、1受精卵につき以下の通りです:
1. 着床前診断費用: 10,000バーツ
・PGT-A検査にかかる基本的な費用です。

2. 受精卵の凍結代金: 4,000バーツ
・細胞取り出し後の受精卵の凍結保存にかかる費用です。
総費用(1受精卵につき)は、PGT-AでNGS技術を用いた場合に14,000バーツとなります。

産み分けをサポートするアイテム

産み分けや着床前診断の前に大切なこととして、体外受精を成功させる、すなわち良質な胚盤胞がいくつ取れるか。これが産み分けを成功に導く一番大切なことになります。この際に大事なサポートアイテムは卵を育てるの卵巣刺激注射の使い方です。

1. 卵巣刺激注射の量は一日300UI(高刺激)
2. 注射は毎日同じ量で打つ日数は9日、伸びても10日までとし、短期間とする

そして大事なのが刺激のバランス(ホルモンの種類とその比率にあります)
FSH:LH🟰3:1の黄金比率
これを徹底的に守ること。

産み分けと着床前診断の重要性

2015年までは、タイでは産み分けが合法であり、特定の性染色体の検査に重点が置かれていました。新しい法案ができたことにより、クリニックは全染色体を検査する着床前診断(PGT-A)に注力するようになり、これにより流産のリスクを低減し、健康な赤ちゃんが生まれる確率が向上しました。2024年、現在では、ある特定の染色体だけを調べる産み分け目的だけのPGD検査は禁止となり、23本全ての染色体検査が標準となリました。これにより安全で確実な家族計画が可能となっています。

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